Vブレーキが外せない!その原因とVブレーキの外し方を解説
Vブレーキが外せない!その原因とフレームやフロントフォークからVブレーキを外す方法、材料、道具について詳しく解説します
目次
はじめに
Vブレーキのリターンスプリングが折れてしまったり、リードパイプを差し込む部分が壊れてしまった。 Vブレーキの動きが渋い等の理由でフレームやフロントフォークから取り外したい事ってあると思います。
片側は簡単に外せたのに、もう片側はどうやっても外れない。結構アルアルです。
そんな外れないVブレーキの外し方を説明させて頂きます。
※ブレーキが正常に作動しない場合は乗る事ができませんから、当然Vブレーキを外して交換しなければなりませんが、 グレードアップしたいと言うような、乗れなくなってしまう事のない理由の場合、 結構リスクの高い作業ですから、交換せずに現状維持をお勧めします。
Vブレーキが外せない原因
通常はボルトを緩めて外せば、VブレーキとVブレーキに付いているスプリングが抜けます
Vブレーキの取り付け位置を側面から見るとこのような感じになっています
ところがVブレーキのボルトを緩めて外そうとしても 1/4回転~1/2回転くらいしか緩める事ができず、 Vブレーキをフレームから外せないと言う事が自転車屋をやっていると結構頻繁にあります
※画像(中央)の青い部分が浮き上がるイメージになります
フレームとブレーキピボットの固定力(緑色部分)よりもブレーキピボットとボルトの固着(赤色部分)が上回ってしまい、 ボルトを緩めようとしてもブレーキピボットごと数ミリ浮き上がってくるだけで外す事ができないのです。
リターンスプリングを退けてVブレーキ本体を回しながら緩めれば外せそうな気がするのですが、 リターンスプリングがフレームの穴に引っかかっていますから、少ししかVブレーキ本体を回す事ができません。
じゃあ、自転車屋はどうやって外しているのか?と言う所をこれから説明してゆきます。
外せないVブレーキの外し方(1)
ブレーキに使用するネジは他の部分と違って簡単に緩んでしまっては困る部分ですから 色は青色だったり、赤色だったり、白色だったりするのですが、 Vブレーキのボルトとブレーキピボットには緩み止め剤が塗ってあります。
錆や腐食が原因の固着でなければ、緩み止めの固定力を無くしてしまえば外せると言う事になりますね。
緩み止め剤の種類や仕組みについては端折りますが、一般的な緩み止めの場合150~200℃くらい。 耐熱最強タイプで350℃くらいの温度で固定力を失います。
ただ、ここで問題になって来るのが、どのタイプの緩み止めが塗られているか?と言う所です。
これは塗った人しか判りません。
自転車屋は塗っていませんし、自転車メーカーはブレーキメーカーからブレーキ本体ごと仕入れているだけなので塗っていません。
ブレーキメーカーはボルトをボルトメーカーから仕入れているだけなので塗っていません。
結局どのタイプの緩み止めか?にたどり着くのは不可能に近いので、最強タイプと仮定するのがベストでしょう。
※ちなみに、私の今までの経験では自転車に使用されている緩み止め、ネジロック剤、エポキシ系の接着剤など ボルト表面温度が270℃くらいで外れない物はありませんでした。
そのような訳で、ひとまず300℃くらいに温度を上げられれば良いと思いますが、 次に問題になってくるのが、手で触って確認できる温度ではありません。
1000℃くらいまで測れる放射温度計があれば良いのですが、ボルト1本外すのになかなか大げさですかね? 自転車屋に頼めば早くて安くて間違いないのに、こんな事を自分でやろうとしているくらいの方なのですから、 放射温度計は一つ持っておくと色々な物の温度が測れて楽しめると思いますよ!
さて本題です。ホームセンターでアウトドア用やクッキング用ではなく、「ロウ付けもできるよ」って言う強力タイプのトーチとガスを買ってきて下さい。 キッチン用品のコーナーではなく、溶接やはんだ付けのコーナーで「業務用」みたいな感じで売っています。
酸素とガスを使う本気のやつじゃなくて大丈夫です。
真上から火で炙ると、フレームの塗装や他の部品も駄目にしてしまう可能性がありますから、 ボルトの頭の横から火を当ててボルトの頭が赤くなるまで炙ります
5mmの六角レンチでボルトを緩めればVブレーキが外せると思います。
外せないVブレーキの外し方(2)
(1)の方法で外れない場合はボルトの頭を削り落とす方法をとります。
ただし、フレームやフォークに付いているブレーキピボットは再利用できなくなります。
また、ブレーキピボットのフレームに入る部分のネジ山(タップ)や太さは フレームによって異なりますから予め同じ物を用意しておきます。
※ブレーキピボットはブレーキの部品ではなく、フレームの部品になりますからフレームメーカーが部品を供給しているか否かで修理の可否は変わります。
例えば、BirdyやBD-1の場合は下記リンクのような形で販売しています
使用する道具ですが、ジスクグラインダーと9mmのスパナを用意して下さい。 グラインダーの砥石は切断用ではなく、研削用を使用します。
怪我や火傷をしないように、ゴーグルと皮手袋、エプロンをはめてジスクグラインダーで ボルトの頭を削り落とせばVブレーキを引き抜く事ができます
その後はブレーキピボットを9mmのスパナで外し、新しいブレーキピボットをねじ込めば終了です