自転車がパンクする原因

自転車が何でパンクしてしまったのか? その理由が分からなければ修理をしてもまた同じ事の繰り返しです。 プロがパンクの原因を解明する方法を丁寧に解説します。

 

目次

 

はじめに

自転車が何でパンクしてしまったのか? 原因が分からなければ修理をしても同じ事の繰り返しになってしまいますし、理由が分からなければ修理後も再発の不安を抱えながら自転車に乗る事になってしまいます。

パンクの修理自体は難しくありませんから、たまたま上手く行ってしまったとしても、原因が特定できなければ、次も上手く修理できるとは限りません。

これは、毎日沢山のパンク修理をして行く中で得られるノウハウですが、自転車屋で仕事をしない限り、そんなに経験できる事でもありません。

ここがプロとアマチュアの大きな違いですね。

そこで、プロはどこを見てパンクの原因を判断しているのかを解説したいと思います。

 

タイヤ付近の部品の名称

まずは、自転車のタイヤ付近の部品の名前を覚えて下さい。

画像左上から、スポーク、ニップル、リムテープ、シングルウォールリム、ダブルウォールリム、チューブ、タイヤです。

画像右上から、バルブキャップ、バルブ、チューブとなります。

この中で少し解りにくいのが「シングルウォールリム」と「ダブルウォールリム」です。

シングルウォールリムは、ママチャリや、低価格帯のスポーツ車などに使用される一層構造のリムで、ダブルウォールリムは高価格帯のスポーツ車に使用され、 リムの内部が二重構造で強度が高いリムです。

自転車のタイヤ付近の部品の名前

 

釘、画鋲、針などが刺さったパンク

釘や画鋲、針などが刺さってパンクした場合、チューブの底面に丸い穴が空きます。

長い物が刺さっていた場合は上面まで突き抜けていないかキチンと確認して下さい。刺さっている物を確認する時に気をつけないと、画鋲などの場合、指を怪我してしまう場合がありますから、タイヤに刺さっている物を調べる時にも十分注意が必要です。

又、穴が小さい場合は細い物が刺さっている可能性が高く、刺さった物を抜き忘れる確立が高いので、穴の空いているチューブの位置からタイヤへ刺さっている位置のおおよその見当をつけて、刺さっている物が残っていないか、根気よく良く調べてください。

釘、画鋲、針などが刺さったパンク

 

ガラスや鉄の破片などが刺さったパンク

ガラスや鉄の破片などが刺さってパンクした場合、チューブ底面に台形の穴が空きます。

パンク修理を終えた後に必ずタイヤに欠片が残っていないかを確認しなければなりませんが、とがった破片で指を切ってしまわないように注意して下さい。

また、刺さっている物が見つからなかった場合ですが、破片が抜けてしまったのなら問題無いのですが、 見つけられなかったと言う可能性もありますから、パッチを貼り付けた後、チューブを入れる前にタイヤだけをピッタリ半周回転させて取りつけて下さい。

数日中にパンクを貼った箇所の丁度反対側に穴が空いていたら、パンクの原因になった破片を取り除けていなかったと言う事がわかります。

ガラスや鉄の破片などが刺さったパンク

 

段差に乗り上げた事で起こるパンク

横から見てチューブの上側と下側に線の穴が空きます。

タイヤの空気が少ない状態で乗っており、段差などを乗り越えた時にタイヤがつぶれ、コンクリートの地面と鉄のリムにチューブが挟まれて空いた穴です。

段差を乗り越えた直後、一気に空気が抜けてしまう事が殆どですから、乗車している本人に「パンクさせてしまった…」と言う自覚症状があります。

段差の衝撃が少なかった場合、ガラスが刺さったような穴が一か所だけと言う時もありますが、ガラスが刺さった場合と穴の位置は異なりますし、穴の開いていない方にも確実に傷はついているので、判断できると思います。

穴の幅が5mm程度であれば、パンク修理で良いのですが、穴の幅がそれ以上の場合は空気を沢山入れた時に穴が裂けてしまう可能性がありますので、チューブ交換した方が良いと思います。

段差の衝撃が大きく、チューブに交換しなければならないレベルの穴が空いていた場合、タイヤも切れて穴が開いてしまっている可能性がありますから、タイヤも良く確認してください。

ガラスや鉄の破片などが刺さったパンク

 

空気が少ない状態で乗り続けた為のパンク

わりとバルブに近い位置で、チューブの側面に穴が空きます。チューブの横面が削れてしまっており、ザラザラになっています。

チューブを取り出した後、タイヤの中を見てみると、チューブの削れた粉が沢山落ちていると思います。

空気が少ない状態で乗っていると、タイヤとチューブの密着があまくなり、チューブとタイヤが擦れて削れ、チューブが薄くなってしまった事でこのようなパンクになります。

他の原因でパンクした後、修理する場所までパンクした方の車輪を持ち上げて移動しなかった場合や、パンクしたまま自転車に乗り続けてしまった場合も同じような事になります。

パンク修理はできますが、今回パンクしている所は1ヶ所だったとしても、他の場所も削れてチューブが薄くなっている為、どんどん連鎖して行きますから、普通はチューブを交換します。

空気が少ない状態で乗り続けた為のパンク

 

チューブが破裂して破けたバーストパンク

見れば誰でも直ぐに分かりますが、チューブが破裂して裂けています。

空気の入れ過ぎでタイヤがビード部分から裂けてしまったり、パンク修理後にチューブがキチンとタイヤ内部に収まっておらず、タイヤとリムにチューブが挟まったまま空気を入れ、少し経った後に破裂してしまったり、 夏の暑さでチューブ内の空気が膨張しすぎて起こることもあります。

チューブの底面が裂けている場合は、タイヤのひび割れが酷いのに沢山空気を入れて破れてしまったか、タイヤのゴムが無くなり、中のケーシングが切れて裂け、そこからチューブが顔を出して破裂してしまったかのどちらかだと思います。

こんな信じられない状態の修理も結構多いのですが、いずれにしてもこの場合、パンク修理は出来ません。

タイヤとリムにチューブが挟まって破裂した場合、チューブ交換だけで済む場合もありますが、タイヤとチューブが交換になる事が殆どです。

チューブが破裂して破けたバーストパンク

 

バルブ付け根のパンク

空気の少ない状態で乗っていると、タイヤとチューブの密着があまくなり、チューブが中でずれてしまうのですが、バルブ部分だけは固定されている為にバルブの根元からもげてしまいます。

この場合パンク修理は出来ませんからチューブの交換になります。

ママチャリの場合、バルブの付け根に付いているナットを工具でギュウギュウに締めている方も時々いるのですが、その場合もこのようなパンクになりやすいです。

バルブ付け根のパンク

 

チューブ内側のパンク(シングルウォールリム)

ママチャリや、低価格帯のスポーツ自転車など、シングルウォールリムが使われている車種で、空気圧が少なくなった時などにリムテープがずれたり切れたりした場合、ニップルとチューブが接触してパンクしてしまいます。

※(チューブにはニップルの接触した痕が残ります)

両面テープでシッカリ貼り付けるタイプの物や、高圧対応のリムテープに交換する事で今後同様のパンクを減らす事が出来ます。

シングルウォールリムで、自転車屋が手で組んだものではなく、工場で機械で組み立てられたホイールは、ニップルにバリがある事が多く、バリがリムテープを突き破ってパンクしてしまうケースもありますから、リムテープを取り付ける前に、ニップルにバリがある場合はヤスリなどで削ってください

チューブ内側のパンク(シングルウォールリム)

 

チューブ内側のパンク(ダブルウォールリム)

入門用以上のスポーツ自転車にはほとんどダブルウォールリムが採用されているのですが、ダブルウォールリムの場合、リムテープの強度よりも空気圧が高くなった時に、リムの内側までリムテープとチューブが入ってしまいます。

そして、リムテープが切れるとパンクしてしまいます ※チューブはリムの内側に入り込んだ分だけ膨らみ、変形します。

高圧対応のリムテープへ交換する事で今後同様のパンクを減らす事が出来ますが、ロードバイクなど、普段から高圧を入れる車種の場合はリムテープがスポークホールごとに大きく凹んでいる場合、チューブと一緒にリムテープも交換してください。

チューブ内側のパンク(ダブルウォールリム)