自転車のボトル台座やキャリアダボの修理と構造について
自転車のボトル台座やキャリアダボの構造や、ネジが外れ無くなってしまった場合の修理方法について解説してします
目次
はじめに
自転車のフレームやフロントフォークには水筒を入れる為のボトルケージを取付けたり、 荷台(キャリア)、泥除け等を取り付けできるように、ネジ山のある穴が付いています。
この穴をボトル台座とか、キャリア台座、キャリアダボ等と呼びます。
六角レンチがあれば台座のネジ2本を外してボトルケージを取り付けするだけですから誰にでもできる簡単な作業と思いきや、 失敗してフレームをダメにしてしまう方が非常に多いです。
フロントフォークやリアフレームの台座はネジ山に対して正面からアプローチできるのですが、 ダウンチューブのボトル台座には正対できず、しかもボトルケージが邪魔をしてネジを指で回す事も難しいですから、 どうしても作業が雑になってボルトを斜めに入れてしまう確率が高いです。
しかも、失敗してしまった時のリペアが半端でなく大変ですから、ボトルの取付は構造を理解したうえで慎重に行うようにして下さい。
ダボ穴の種類と構造
自転車のボトル台座やキャリア台座はボルトを固定する為にフレームパイプの内側にナットを作る必要がありますが、 パイプの内側には手が届きませんから一般的なナットをパイプの内側に持って来る事ができません。
そこで、ボトルダボと言う材料か、リベットナットと言う材料を使ってボトル台座を作ります。
ボトルダボ
リベットナット
ボトルダボはクロモリなど鉄製のフレームで使用される事が多く、 穴を開けたパイプにボトルダボを差し込んでロウ付け(溶接)します。
※ロウ付けは簡単に言うと、電気の線を繋げる時に行うハンダ付けの強力バージョンです。
溶接されている訳ですからとても頑丈ですが、溶接技術が必要になる事と手間がかかります。
また、ダボとパイプが同じような金属で無いとくっつき難い事や、ボウボウ火で炙りますから塗装後にはできません。
リベットナットはカーボンフレームやアルミフレームで使用される事が多く、 穴を開けたパイプにリベットナットを差し込んで、ハンドナッターと言う工具を一握りするだけで台座が作れてしまいます。
リベットナットは溶接に比べるとはるかに簡単で、火を使いませんから、 カーボンフレームのように炎で樹脂が溶けてしまう事もありませんし、 塗装後に台座を作る事もできます。
また、パイプとリベットが同じ材質である必要もありません。
その代わりに溶接されたボトルダボに比べると、強度はとても弱いです。
ちなみにリベットは二つの材料を表側と裏側からギュッと挟み込む形で繋ぎ合わせる工法で、 トタン屋根とか、ゼロ戦の外側に付いている小さいブツブツのやつです。
その工法を応用して手の届かない材料の裏側にナットを作ってしまおうと言うのがリベットナットです。
自転車のボトルやキャリアが外せない理由
一番多い症状が、自転車のボトルケージやキャリア(荷台)を固定しているネジが フレームやフロントフォークの台座ごと一緒に回ってしまって、 ネジを締める事も緩める事も、取り外す事もできないと言う物です。
- ボルトを斜めにねじ込んでしまった。
- グリスを塗らずに取りつけたため錆びてしまった。
- ダボとボルト(ネジ)の電位差が大きく電食してしまった。(サビたって事です)
ロウ付け(溶接)されたダボの場合、ネジと台座が一緒に回ってしまうと言う事であれば ロウが外れていると言う事ですから、そのまま引っこ抜ける可能性が高いのですが、 リベットナットの場合はそう簡単に行きません。
リベットで表と裏から挟み込んでパイプと台座を一体化しているのですが、 挟み込んでいる力がボルトの固着に負けてしまったと言う事になります。
しかも、困った事にパイプ内側部分のリベットナットはパイプの穴よりも随分外径が大きくなっていますから もう固定する事も引っこ抜く事も出来ません。
本来はリベットナットがパイプとピッタリくっついているはずですが、 こうなってしまうと既にリベットナットとパイプには隙間が出来ていますから、 振動でボトルやキャリアの取り付け部分から 「カタカタ...」 と音が出てしまうと思います。
気になる音や振動を抑えたいだけならリベットナットとパイプの間に エポキシ等を入れてあげれば解決すると思います
ただ、どうしても固定しているボルトを外さなければならない場合の修理方法をこの先で説明します。
ボトル台座やキャリア台座の修理方法
まず、台座付近のフレームにマスキングをします
ジスクグラインダーを用意してボルトの頭を削り落とします。
※必ず長袖長ズボンに皮の手袋、ゴーグルをはめて作業を行って下さい。
フレームのパイプを削ってしまわないように十分注意をしながら パイプ表側に見えているリベットナットがペラッペラになるまで薄く削り、 リベットナットをポンチでフレームパイプの中へ叩き落とします。
シートチューブのボトルダボの場合はサドルを引き抜いて回収します。
ダウンチューブのボトルダボの場合はボトムブラケットがフロントフォークを外して回収します
フロントフォークやシートステーの場合、 パイプの中に落としたダボを回収する事はできませんから、 フレームをゆすってフロントフォークやシートステーの一番下までダボを落とし、 ダボを取りつける穴から細い管を通し、落としたダボの位置まで差し込んでエポキシ等を注入します。
※これを行わないと、走行中にダボがパイプの中で動いてカタカタと言う音がでてしまいます。
その後はハンドナッターにリベットナットをセットします
フレームの穴にリベットナットを差し込みます
ハンドナッターを握ればリベットナットが固定されますので作業終了です